認知症で「帰りたい」と言うのはなぜ?家族の声かけと対応

「家に帰りたい」
「そろそろ帰らなきゃ」
「ここにいても仕方がない」

認知症のあるご家族から、何度も「帰りたい」と言われ、どう対応すればよいか悩んでいませんか?

今いる場所が自宅であっても、老人ホームや高齢者施設であっても、「家に帰りたい」と訴えることがあります。

その言葉の背景には、不安や記憶の変化、安心できる場所を求める気持ちなどが関係している場合があります。

今回は、認知症で「帰りたい」と言う理由と、家族ができる声かけや対応方法について、わかりやすく解説します。

認知症で「帰りたい」と言うのはなぜ?

認知症の方が「家に帰りたい」と訴える背景には、さまざまな理由が考えられます。

① 今いる場所がわからず不安になる

記憶や時間・場所の認識に変化が生じると、現在いる場所を自分の家として認識しにくくなる場合があります。

慣れない環境では、「安心できる家に帰りたい」という気持ちが強くなることもあります。

② 昔の生活や役割を思い出している

「子どもが帰ってくるから夕飯を作らなきゃ」「仕事が終わったから帰らないと」など、過去の生活や役割に関する気持ちが表れることがあります。

ご本人にとっては、今も大切な用事があると感じているのかもしれません。

③ 不安や寂しさを感じている

周囲の人や環境に慣れず、孤独感や不安を抱えている場合もあります。

「家に帰りたい」という言葉が、安心できる場所や人を求める気持ちの表れになっている可能性もあります。

🌿 「帰りたい」という言葉を、単なるわがままや困った行動と決めつけないことが大切です。本人が何を心配しているのか、気持ちに目を向けてみましょう。

「家に帰りたい」と言われたときの声かけ

帰宅願望が見られたときは、まず本人の気持ちを受け止めることを意識しましょう。

💬 こんな声かけを試してみましょう

「お家に帰りたいんですね」

「何か心配なことがありますか?」

「少しお茶を飲んでから、一緒に考えましょう」

「大切な用事があるんですね。お話を聞かせてください」

すぐに説得しようとせず、本人が落ち着けるような会話を心がけましょう。

理由を聞いても話したくない様子であれば、無理に質問を続ける必要はありません。飲み物や好きな音楽、簡単な作業など、別のことに気持ちを向ける方法もあります。

認知症の帰宅願望で避けたいNG対応

何度も「帰りたい」と言われると、家族も疲れてしまいます。しかし、強い否定や叱責は、本人の不安や混乱を強める可能性があります。

❌ 避けたい言葉

「ここが家でしょ!」

「帰れません!」

「何度言えばわかるの?」

「また始まったの?」

本人の認識を無理に正そうとするよりも、まずは不安な気持ちを受け止めることを優先しましょう。

ただし、共感することは、本人の言葉をすべて事実として認めることとは異なります。安全や生活上の問題がある場合は、落ち着いて状況を確認することも必要です。

帰宅願望を和らげるための生活の工夫

① 生活リズムを整える

起床・食事・睡眠などの生活リズムを整え、日中に無理のない範囲で活動する時間をつくりましょう。

② 本人の得意なことや役割を大切にする

洗濯物をたたむ、花に水をあげる、音楽を聴くなど、本人が無理なく楽しめる活動を取り入れましょう。

③ 夕方の環境を見直す

夕方から帰宅願望が強くなる場合は、照明を明るくする、早めに声をかける、疲れがたまっていないか確認するなどの工夫を試してみましょう。

同じ対応がすべての方に合うとは限りません。本人の生活歴や体調、好きなことを踏まえながら工夫することが大切です。

外に出ようとするときは安全対策も大切

「帰りたい」という訴えが、実際に外へ出ようとする行動につながることもあります。

外出による転倒や道迷いなどの危険が心配な場合は、本人の安全を確保しながら対応しましょう。

  • 外に出ようとする時間帯やきっかけを確認する
  • 家族や介護スタッフ間で情報を共有する
  • 必要に応じて医療機関やケアマネジャーへ相談する

無理に力で引き止めたり、本人を一人で対応させたりせず、状況に応じて周囲のサポートを受けましょう。

老人ホームへの入居を検討するタイミング

帰宅願望が繰り返し起こり、家族だけでの対応が難しくなることもあります。

次のような状況が続く場合は、老人ホームや高齢者施設への入居について相談することも選択肢のひとつです。

  • 家族の介護負担が大きくなっている
  • 外に出ようとする行動が増えている
  • 夜間の見守りや対応が必要になっている
  • 本人が安心して過ごせる環境を探したい

認知症の方を受け入れている施設でも、対応できる症状や介護・医療体制は異なります。

認知症への対応体制、夜間の見守り、外出時の安全対策などを確認し、ご本人に合った施設を検討しましょう。

よくある質問|認知症で「帰りたい」と言うとき

Q.自宅にいるのに「家に帰りたい」と言うのはなぜですか?

記憶や時間・場所の認識の変化、不安や寂しさなどが関係している場合があります。本人にとって安心できる場所を求める気持ちが表れている可能性もあります。

Q.何度説明しても「帰りたい」と言います。どうすればよいですか?

何度も説明して理解してもらおうとするより、まずは気持ちを受け止めましょう。「帰りたいんですね」と共感したうえで、飲み物や会話など別のことに気持ちを向ける方法もあります。

Q.帰宅願望が強い場合、老人ホームに入居できますか?

認知症の方を受け入れている老人ホームや高齢者施設があります。ただし、対応できる症状や介護体制は施設によって異なるため、ご本人の状態を伝えたうえで相談することが大切です。

まとめ|「帰りたい」の気持ちに寄り添う

認知症の方が「家に帰りたい」と言う背景には、記憶の変化や不安、安心できる場所を求める気持ちなどが関係している場合があります。

「ここが家でしょ」と強く否定するのではなく、本人の気持ちを受け止め、安心できる環境づくりを心がけましょう。

家族だけで対応することが難しい場合は、医療機関や介護の専門職に相談することも大切です。

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