認知症の症状と思ったら別の病気だったケースもあります

「最近、親の物忘れが増えた気がする」
「同じ話を何度もするようになった」
「急に元気がなくなり、ぼんやりしている」

こうした変化を見ると、多くの方がまず認知症を心配されます。

もちろん認知症の可能性もありますが、実は認知症とよく似た症状を引き起こす病気は少なくありません。

中には治療によって改善が期待できる病気もあるため、「年齢のせい」「認知症だから仕方ない」と決めつけないことが大切です。

今回は、認知症と間違われやすい病気や注意したい症状について解説します。

この記事で分かること

  • 認知症と似た症状が出る病気
  • 認知症との違い
  • 受診を急いだほうがよいケース
  • 家族が気を付けたいポイント

認知症と間違われることは意外と多い

認知症は徐々に進行する病気ですが、急激な物忘れや判断力の低下が現れた場合は、別の病気が隠れている可能性があります。

ご本人だけでなく、ご家族も「認知症が始まった」と思い込みやすいため注意が必要です。

実際には、体の病気や薬の影響によって認知症に似た症状が出ることがあります。

① せん妄(せんもう)

高齢者で特に多いのが「せん妄」です。

せん妄とは、一時的に意識が混乱した状態のことをいいます。

症状としては、

  • 急に会話がかみ合わなくなる
  • 昼夜逆転する
  • 幻覚が見える
  • 落ち着きがなくなる
  • 突然怒りっぽくなる

などがあります。

感染症や脱水、入院後の環境変化などが原因で起こることがあり、認知症と間違われるケースも少なくありません。

せん妄は原因を治療することで改善することがあります。

② うつ病

高齢者のうつ病も認知症と間違われやすい病気です。

意欲が低下し、

  • 何もしたがらない
  • 返事が遅い
  • 物忘れが増える
  • 表情が乏しくなる

といった症状が現れます。

本人も「最近何も覚えられない」と訴えることがあり、認知症と似ています。

しかし、うつ病の場合は適切な治療によって改善が期待できます。

③ 脱水症状

高齢者は喉の渇きを感じにくくなるため、知らないうちに脱水状態になっていることがあります。

脱水が進むと、

  • ぼんやりする
  • 会話が成立しにくい
  • 反応が遅くなる
  • 集中力が低下する

など、認知症に似た状態になることがあります。

特に夏場や発熱時には注意が必要です。

④ 脳梗塞や脳出血

脳の病気によって急に物忘れや判断力の低下が現れることがあります。

以下のような症状を伴う場合は緊急性があります。

要注意サイン

  • ろれつが回らない
  • 片側の手足が動かしにくい
  • 顔の片側が下がる
  • 急に歩けなくなる
  • 突然強い頭痛が起こる

このような症状がある場合は、認知症ではなく脳卒中の可能性も考えられるため、速やかに医療機関を受診してください。

⑤ 薬の副作用

高齢者は複数の薬を服用していることが多く、薬の影響で認知機能が低下したように見えることがあります。

  • 眠気が強くなる
  • 反応が鈍くなる
  • 注意力が低下する
  • ふらつきが増える

最近薬が増えた、変更になったという場合は主治医や薬剤師に相談してみましょう。

⑥ 正常圧水頭症

あまり知られていませんが、正常圧水頭症という病気も認知症と似た症状を引き起こします。

特徴的なのは、

  • 歩幅が小さくなる
  • 転びやすくなる
  • 尿失禁が増える
  • 物忘れが目立つ

という症状です。

認知症と診断されていた方が、詳しい検査で正常圧水頭症と判明するケースもあります。

治療によって改善が期待できる場合もあるため見逃したくない病気です。

こんな時は早めに受診を

次のような変化が見られた場合は早めの受診をおすすめします。

  • 数日から数週間で急激に症状が悪化した
  • 発熱や脱水を伴っている
  • 幻覚や妄想が急に始まった
  • 転倒が増えた
  • ろれつが回らない
  • 手足の麻痺がある

認知症は一般的にゆっくり進行することが多いため、急激な変化は別の病気を疑う重要なサインになります。

認知症であっても早期発見が大切

もちろん、検査の結果として認知症と診断されることもあります。

しかし早い段階で診断を受けることで、薬物療法や生活環境の見直し、ご家族の準備などが進めやすくなります。

また、認知症の方の入居・対応が可能な老人ホームについても、余裕を持って情報収集ができるようになります。

まとめ

物忘れや判断力の低下が見られると、「認知症かもしれない」と不安になるものです。

しかし実際には、せん妄やうつ病、脱水症状、脳の病気など、認知症と似た症状を引き起こす病気もあります。

中には治療によって改善が期待できる病気もあるため、自己判断せず医療機関で相談することが大切です。

ご家族が早めに変化に気付き、適切な受診につなげることが安心した生活への第一歩になります。

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