認知症の困った行動①「人のものを盗る」と疑う理由と対応
「財布がない! 誰かが持っていったんじゃない?」
さっきまで一緒に探していたのに、また同じ訴えが始まる。何度も繰り返されると、家族も戸惑い、ついイライラしてしまうことがありますよね。
認知症の方が「人のものを盗った」「自分のものがなくなった」と訴える背景には、記憶力の低下や不安な気持ちが隠れていることがあります。
大切なのは、本人を責めたり、無理に納得させたりすることではありません。今回は、認知症の方が「財布がない」と繰り返す理由と、家族ができる対応を紹介します。
なぜ「財布がない」と何度も訴えるの?
1.財布を置いた場所を忘れてしまう
認知症では、物をしまったことや置いた場所を思い出せなくなることがあります。自分で別の場所に移したとしても、その記憶が抜け落ちてしまい、「誰かに盗られた」と感じる場合があります。
本人にとっては、本当に財布がなくなったように感じられるため、家族が説明しても納得できないことがあります。
2.大切なものを失う不安がある
財布や通帳などは、生活に欠かせない大切なものです。見当たらなくなると、どうしてよいか分からず、強い不安に襲われることがあります。
何度も確認するのは、安心したいという気持ちの表れかもしれません。
3.自分の記憶を信じられなくなる
以前は当たり前にできていたことが難しくなると、本人も戸惑いや自信のなさを感じます。物が見つからない理由を自分の記憶の問題だと理解できず、周囲の人を疑ってしまうこともあります。
🌿 覚えておきたいこと
本人は家族を困らせようとしているとは限りません。記憶の変化によって生じた不安を、何度も感じている可能性があります。
やってはいけないNG対応
同じ訴えが続くと、つい言いたくなる言葉があります。しかし、対応によっては本人の不安を強めてしまうことがあります。
- 「さっき見つけたでしょう!」と責める
- 「何回言えば分かるの?」と怒る
- 「誰も盗っていない」と強く否定する
- 面倒になって無視してしまう
家族も疲れていると、冷静に対応するのが難しいものです。いつも優しく接しなければと、自分を責める必要はありません。少し距離を置いたり、ほかの家族や介護サービスに頼ったりすることも大切です。
安心につながる4つの対応
① まずは気持ちを受け止める
「財布がない」と言われたら、すぐに間違いを指摘するのではなく、「見つからないと心配だね」と声をかけてみましょう。本人の不安が少し落ち着いてから、一緒に確認します。
② 一緒に探してみる
「一緒に探そうか」と声をかけ、本人がよく物をしまう場所を確認します。見つかったときは、責めたり説教したりせず、「あってよかったね」と安心できる言葉をかけましょう。
③ 財布の定位置を決める
財布を置く場所を決め、本人にも分かりやすい環境を整えます。使いやすい場所にトレーを置くなど、目で見て分かる工夫も役立ちます。ただし、本人の習慣や気持ちを尊重し、無理に管理を変えないことも大切です。
④ 家族だけで対応し続けない
訴えが頻繁になり、家族の負担が大きくなっている場合は、ケアマネジャーや医師に相談しましょう。急に症状が強くなった場合は、体調不良などが関係している可能性もあるため、早めの受診が大切です。
繰り返しの対応がつらくなったら
「また始まった」と感じてしまう。つい強い口調で返してしまい、あとから自己嫌悪に陥る。そんなことが続いていませんか?
介護する家族の疲れが大きくなっているなら、介護サービスの利用や、生活環境の見直しを考えるタイミングかもしれません。
在宅での介護が難しくなった場合は、認知症の方を受け入れている老人ホームを検討する方法もあります。施設によって認知症への対応や受け入れ条件は異なるため、本人の症状や生活の様子を伝え、対応できる施設を探すことが大切です。
施設を考えることは、親を見捨てることではありません。本人が安心して暮らせること、そして家族も無理なく支え続けられること。その両方を大切にしてよいのです。
関連記事
無料相談のご案内
「同じやり取りに疲れてしまった」「このまま在宅で介護を続けられるか不安」「認知症の親に合う老人ホームを知りたい」など、一人で悩んでいませんか?
ご本人の状態やご家族の希望、ご予算に合わせて、老人ホーム探しをお手伝いします。まだ入居を決めていない段階でも、お気軽にご相談ください。

