認知症の困った行動②「財布がない」と繰り返すときの接し方
「財布がない! どこに置いたの?」
「さっきまであったのに、誰かが持っていったのかしら……」
認知症の親から、こんな言葉を何度も聞かされていませんか? 一緒に探して見つかったのに、しばらくするとまた「財布がない」と訴える。そんなやり取りが続くと、家族も疲れ、つい強い口調になってしまうことがあります。
しかし、本人にとっては、財布が見つからないことがそのたびに大きな不安になっている可能性があります。
今回は、認知症の方が「財布がない」と繰り返す理由と、家族の負担を減らす接し方を紹介します。
なぜ「財布がない」と何度も繰り返すの?
1.財布をしまったことを忘れてしまう
認知症では、新しい出来事を覚えたり、直前の行動を思い出したりすることが難しくなる場合があります。
自分で財布をしまったことや、家族と一緒に探して見つけたことを忘れてしまい、再び「ない」と訴えることがあります。
2.大切なものがなくなる不安がある
財布にはお金や身分証明書などが入っているため、本人にとって大切な持ち物です。見当たらなくなると、強い不安や焦りを感じることがあります。
何度も確認することで安心しようとしている場合もあります。
3.自分の記憶に自信が持てなくなる
物を置いた場所が分からなくなると、「自分が忘れたのかもしれない」と考えることが難しくなり、誰かに動かされたのではないかと疑う場合もあります。
🌿 家族が知っておきたいこと
本人は、わざと同じことを繰り返しているわけではありません。記憶の変化や不安が背景にあることを理解し、安心できる対応を考えましょう。
避けたいNG対応とは?
何度も同じことを聞かれると、家族もつらくなります。ただし、次のような対応は、本人の不安を強めることがあります。
- 「さっき見つけたでしょう」と責める
- 「何回言えば分かるの?」と怒る
- 「また財布の話?」と面倒そうにする
- 本人の訴えを無視する
本人は、直前に探したことを覚えていない可能性があります。説明を繰り返して納得してもらおうとするよりも、まず不安な気持ちを和らげることを意識してみましょう。
「財布がない」と言われたときの接し方4つ
① まずは気持ちを受け止める
「財布がない」と言われたら、「見つからないと心配だね」と声をかけてみましょう。すぐに間違いを指摘するのではなく、本人が感じている不安に寄り添います。
② 一緒に探す
「一緒に探そうか」と声をかけ、本人がよく物を置く場所を確認します。財布が見つかったら、「あってよかったね」と伝え、安心できる雰囲気をつくりましょう。
③ 財布の定位置をつくる
財布を置く場所を決め、本人が見つけやすいように工夫します。目につく場所にトレーを置くなど、シンプルな方法から試してみましょう。本人が慣れ親しんだ習慣も大切にしてください。
④ 本人が安心できる方法を探す
使い慣れた財布を大切にする方もいれば、財布に似た小物を手元に置くことで落ち着く方もいます。ただし、代わりの財布を用意する方法が必ず効果的とは限りません。本人の反応を見ながら工夫しましょう。
家族の負担が大きくなったら
毎日同じやり取りが続くと、介護する家族の心にも疲れがたまります。イライラしたり、つい怒ってしまった自分を責めたりすることもあるでしょう。
そんなときは、一人で抱え込まず、ケアマネジャーや医師に相談してみてください。急に訴えが強くなった場合は、体調の変化などが影響している可能性もあります。
在宅介護の負担が大きく、生活を続けることが難しい場合は、認知症の方を受け入れている老人ホームを検討する方法もあります。施設によって受け入れ条件や認知症への対応は異なるため、本人の状態に合った環境を探すことが大切です。
施設への入居を考えることは、親を見捨てることではありません。本人の安心と家族の生活、その両方を守れる方法を考えていきましょう。
よくある質問(Q&A)
Q.財布が見つかっても、また「ない」と言うのはなぜ?
A.財布を見つけたことや、しまった場所を忘れてしまう場合があるためです。本人にとっては、再び財布が見当たらなくなったように感じられることがあります。
Q.何度も探すことに疲れたら、どうすればよい?
A.家族だけで対応し続ける必要はありません。財布の定位置を工夫したり、ほかの家族や介護サービスに協力を求めたりしましょう。負担が大きい場合は、ケアマネジャーなどに相談してください。
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