「物を盗られた」と言うのは認知症の症状?

「財布を盗られた!」「通帳をどこかに隠された」——。認知症の親から、身に覚えのないことで疑われ、戸惑った経験はありませんか?

何度も犯人扱いされると、悲しくなったり、腹が立ったりするのは自然なことです。

実は、認知症の方が「物を盗られた」と訴えるのは、「物盗られ妄想」と呼ばれる症状の可能性があります。なぜ起こるのか、家族はどのように対応すればよいのかを解説します。

「物を盗られた」は認知症の症状?

認知症では、財布や通帳などを置いた場所を忘れたり、しまったこと自体を思い出せなくなったりすることがあります。

そのとき、本人には「自分でどこかに置いた」という記憶がないため、「誰かが盗んだに違いない」と感じてしまうことがあります。これが「物盗られ妄想」です。

本人が意図的に家族を困らせているとは限りません。不安や、自分で物を管理できなくなったことへの戸惑いが背景にある場合もあります。

「盗られた!」と言われたときの対応3つ

① すぐに否定せず、気持ちを受け止める

「盗っていないよ!」「何を言っているの」と否定すると、本人の不安や怒りが強まることがあります。

まずは「なくなったら困るよね」「一緒に探してみようか」と、困っている気持ちに寄り添いましょう。

② 本人と一緒に探してみる

本人が安心できるよう、いつも使う引き出しやバッグ、衣類のポケットなどを一緒に確認します。

見つかったときは、責めたり「ほら、ここにあったでしょう」と指摘したりせず、「見つかってよかったね」と伝えるのがおすすめです。

③ 大切な物の置き場所を決める

財布や眼鏡など、よく探す物は置き場所を決め、できるだけ同じ場所に戻す習慣をつくりましょう。

本人が納得できる形で、専用の箱や引き出しを用意するのも一案です。通帳や印鑑などの管理方法も、本人の意思や安全に配慮しながら家族で相談しましょう。

家族が犯人扱いされて、つらいときは?

「何もしていないのに疑われる」という状況が続けば、家族の心も疲れてしまいます。毎回、本人を納得させようと頑張りすぎる必要はありません。

いったん距離を置く、別の家族に対応を代わってもらう、介護サービスや地域包括支援センターに相談するなど、介護する側の負担を減らすことも大切です。

また、訴えが急に始まったり、急激に強くなったりした場合は、身体の病気や薬の影響などが関係している可能性もあります。かかりつけ医に相談しましょう。症状が続いて本人や家族の生活に支障が出ている場合も、医療機関への相談をおすすめします。

よくある質問

Q. 「物を盗られた」と言うだけで認知症なのでしょうか?

A. いいえ。物をなくした経験だけで認知症とは判断できません。ただし、物忘れの増加や生活上の変化が続く場合は、医療機関に相談しましょう。

Q. 家族が何度説明しても納得してくれません。

A. 理屈で説得しようとするより、まず気持ちを受け止め、安心できる声かけを心がけましょう。対応に困るときは、医師や介護の専門職に相談してください。

まとめ|本人の不安と家族の負担、どちらも大切に

「物を盗られた」という訴えの背景には、記憶の変化だけでなく、不安や戸惑いが隠れていることがあります。

無理に否定せず、一緒に探す、置き場所を決めるなど、できることから始めてみましょう。そして、家族だけで抱え込まないことも忘れないでくださいね。

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