認知症の困った行動⑬勝手に物をしまい込む理由とは?

「大事な物が見つからない…」
「冷蔵庫や引き出しから思いもよらない物が出てきた…」

認知症の方によく見られる“しまい込み”。
ご家族にとっては困ってしまう行動のひとつです。

しかし、この行動にも本人なりの理由があります。

今回は、しまい込みが起こる背景と、トラブルを減らすための関わり方について解説します。


■ なぜ物をしまい込むのか?

単なるクセではなく、認知症による不安や記憶の変化が関係しています。

  • 物をなくしたくないという強い不安
  • どこに置いたか分からなくなるため安全な場所にしまう
  • 大切な物を守ろうとする意識
  • 片付けているつもりの行動
  • 記憶障害によりしまったこと自体を忘れてしまう

つまり、「困らせようとしている」のではなく、
安心しようとしている行動なのです。


■ よくあるしまい込みの例

  • 財布や通帳を何度も場所を変えて隠す
  • 食べ物以外の物を冷蔵庫に入れる
  • 衣類や小物を袋や箱に詰め込む
  • ゴミと一緒に大事な物をまとめてしまう

本人の中では「安全な場所」や「分かりやすい場所」に置いているつもりでも、
周囲から見ると予想外の場所になってしまうことが多いのです。


■ 頭ごなしに否定しないことが大切

物が見つからないと、つい

  • 「そんなところに入れないで!」
  • 「またやったの?」

と言ってしまいがちです。

しかし、否定や叱責は不安を強め、さらに行動が増える原因になります。

まずは「不安だからしまっている」という背景を理解することが大切です。


■ トラブルを減らすための工夫

① “しまっていい場所”を作る

専用の引き出しや箱を用意し、「ここに入れておけば安心」と伝えます。

② 大切な物は管理方法を工夫

通帳や印鑑などは、ご家族が別で管理することも検討しましょう。

③ 定期的に一緒に確認する

「一緒に整理しましょう」と声をかけ、自然に場所を把握します。

④ 物の数を減らす

管理しきれない量があると混乱が増えます。シンプルな環境づくりが有効です。

⑤ 安心できる声かけ

「大丈夫ですよ」「ここにありますよ」と安心感を与えることが大切です。


■ “盗られた”と感じることもある

しまい込んだことを忘れてしまうと、

「誰かに盗られた」

と感じてしまうことがあります。

これは「物盗られ妄想」と呼ばれ、認知症ではよく見られる症状です。

この場合も、否定せずに安心させる対応が重要になります。


■ 施設という選択肢

しまい込みや物のトラブルが増えると、ご家族のストレスも大きくなります。

老人ホームでは、

  • 持ち物の管理サポート
  • 認知症の行動に配慮した環境づくり
  • スタッフによる見守りと声かけ

により、トラブルを最小限に抑える工夫がされています。

認知症の方の不安に寄り添った対応ができるため、行動が落ち着くケースも多くあります。


■ まとめ

物をしまい込む行動は、「不安」や「守りたい気持ち」から生まれています。

困った行動として捉えるだけでなく、その背景を理解することで対応は大きく変わります。

環境や関わり方を少し工夫することで、ご本人もご家族も安心できる時間が増えていきます。


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