認知症で“盗んだ”“盗まれた”が起きるとき──混乱の背景と安心のヒント

認知症の方の中には、「物を盗まれた」「誰かに取られた」と感じたり、逆に周囲から見ると「人の物を勝手に持ってしまう」ように見える行動が起きることがあります。 本人は悪気があるわけではありません。
この記事では、その背景にある“脳の変化”をわかりやすく説明し、ご家族が安心して向き合えるヒントをまとめました。

◆ なぜ「盗んだ」「盗まれた」と感じてしまうのか

認知症が進行すると、記憶・判断力・空間認識などが弱まり、 本当は「自分でしまい忘れた」「置き場所を忘れた」だけでも、 “盗まれた”という結論に飛んでしまうことがあります。

● よくある原因

短期記憶の低下
→ 物を置いた直後の記憶が消えてしまう

注意力の低下
→ 他の場所に移動させたことに気づかない

不安感の高まり
→ 誰かに狙われていると感じやすい

過去の記憶が優位になる
→ 昔の経験や思い込みが強く出る

本人にとっては“本当に起きたこと”のように感じているため、説明で否定されると余計に不安が大きくなることがあります。

◆ “盗んだように見える”行動の裏にあるもの

認知症の症状の一つに、「持ち物の区別が難しくなる」という変化があります。 勝手に取ったのではなく、本人の中では 「自分の物だと思っている」ことが多いのです。

● よく見られるパターン

似たデザインの物を自分の物と勘違い

その場にある物を「片付けてあげよう」と思って手に取る

手に持っていること自体を忘れてしまう

認知症の特性による“混乱”であり、故意の「盗み」ではありません。

◆ 家族ができる安心のサポート
1. 否定せず、気持ちを受け止める

「盗ってないよ」「勘違いだよ」と否定すると、本人の不安が増してしまいます。 まずは気持ちを受け止め、安心できる言葉をかけることが大切です。

例:

「心配だったね。いっしょに探してみよう」

「大切なものだから、見つけようね」

2. 物の置き場所を“固定”し、整理をシンプルに

いつも同じ場所に置く

収納場所をラベルで見える化

よく使う物は“目につく位置”に置く

環境の工夫だけでも「置き忘れ→不安」の連鎖を減らせます。

3. 貴重品は家族が管理する

財布・通帳・印鑑・貴金属などは、本人が誤ってなくしてしまわないよう、
家族が安全に管理する仕組みをつくりましょう。

4. 「探す時間」を本人と一緒に

一緒に探すことで、本人の不安が和らぎ、
「誰かのせいではない」ことに自然に気づくことがあります。

5. 専門職に相談する選択肢も

地域包括支援センターやケアマネジャーは、こうした悩みを日々扱っています。
一人で抱え込まず、早い段階から相談することで、安心できる支援が受けられます。

◆ 認知症の「物盗られ妄想」がつらいときは…

“盗まれた”という訴えは、本人の不安の強さの表れです。 家族の対応だけで改善が難しい場合もあります。 一緒に暮らす人の負担が大きくなる前に、外部のサービスを活用することも大切です。
デイサービスやショートステイ、または専門の施設への相談も選択肢の一つです。

🌿 まとめ:大切なのは「安心できる環境」づくり

認知症によって起こる“盗んだ”“盗まれた”という訴えは、 本人が混乱し、不安を強く感じているサインです。 家族の優しい声掛け・環境の工夫・専門職への相談によって、 安心した日常を取り戻すことができます。 大切なのは、本人も家族も“心が楽になる方法”を見つけていくことです。

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