身寄りがない高齢者急増 しておくべき終活とは?
身寄りがない高齢者の急増に伴い、終活の重要性がますます高まっています。終活は、人生の終わりを見据え、心の整理や財産の管理、遺言書の作成などを行うことで、残された時間を有意義に過ごすだけでなく、残された家族や関係者に負担をかけないようにするための活動です。身寄りがない場合、特に自分の意志を伝える方法や資産の管理をしっかり整えておくことが重要です。
以下は、身寄りがない高齢者がしておくべき終活の項目です。
1. 遺言書の作成
- 遺産分割や財産管理を明確にしておくために、遺言書を作成することが大切です。遺言書がないと、法定相続人がいない場合でも、遺産は国に帰属することになります。特に身寄りがない場合、自分が持っている財産をどう処理するか、明確に意志を示しておく必要があります。
- 公正証書遺言を作成することで、法的効力が高く、後々トラブルを避けることができます。公正証書遺言は、公証人の立会いのもとで作成されるため、確実に自分の意志が反映されます。
2. エンディングノートの記入
- エンディングノートは、遺言書とは異なり法的効力はありませんが、自分の希望や意志を整理し、後々困ることを避けるために重要です。特に身寄りがない場合、エンディングノートを使って、葬儀の希望、医療の方針、財産の取り扱い、連絡先などを記載しておくことが大切です。
- 財産リストや連絡先、医療や介護の希望を具体的に記入しておくことで、実際に自分が亡くなった時や入院した時に困らないようにしておきましょう。
3. 成年後見人制度の利用
- 認知症や判断能力の低下に備えて、早い段階で成年後見人を指定しておくことも考えられます。成年後見人は、自分が判断能力を失った場合に財産管理や契約手続きなどを代行する役割を果たします。
- 後見人を選定することで、信頼できる人物があなたの代わりに手続きを進めてくれるので、判断能力が衰えた際に安心です。
4. 資産の整理・管理
- 銀行口座や不動産、保険契約、年金などの資産を整理しておくことは、終活の中でも特に重要です。資産の場所や管理方法、契約内容を家族や信頼できる人に伝えておくことが重要ですが、身寄りがない場合は、第三者が代わりに管理できるように準備しておく必要があります。
- 信託契約を結ぶことで、特定の信頼できる機関や人物に資産の管理を任せることもできます。信託を利用することで、遺産が無駄に扱われたり、国に没収されたりするのを防ぐことができます。
5. 葬儀の準備と希望
- 葬儀の希望を記載しておくことも大切です。身寄りがない場合、自分がどのような葬儀を希望するのか、事前に整理しておかないと、葬儀の主催者が決めることになります。例えば、火葬のみ、散骨希望、宗教的な儀式の有無など、詳細をエンディングノートに記載しておくとよいでしょう。
- 葬儀社の選定や、もしも自分が葬儀費用を支払えない場合に備えて、葬儀保険に加入することも選択肢の一つです。
6. 社会的・医療的サポートの確保
- 身寄りがない場合でも、地域包括支援センターや民間のサポートサービスを活用することができます。特に介護や医療が必要になった際に、地域で支援を受けられる仕組みを整えておくことが重要です。
- 高齢者向けの地域の社会福祉サービスに関して、事前に情報を集め、利用方法や支援体制を確認しておくと安心です。
7. ペットの管理・世話人の確保
- ペットを飼っている場合は、万が一自分が亡くなった場合のペットの世話人を決めておくことも必要です。ペットも家族の一員として、大切に扱ってくれる人を選び、事前に合意を取っておくとよいでしょう。
- また、ペットに関しての費用や手続きについてもエンディングノートに記載しておくと、スムーズに引き継ぐことができます。
8. 医療・介護の希望の確認
- 終末期の医療や介護の方針についても考えておくべきです。身寄りがない場合、誰かが代理で判断することになります。事前に延命治療を希望するか、しないか、緩和ケアを希望するかなど、具体的な希望を整理しておくことが大切です。
- 医療代理人を指定しておくことで、もしもの時に自分の希望を反映させてもらえるようになります。
9. デジタル資産・ID管理
- 現代では、デジタル資産(メールアカウント、オンラインバンキング、SNSアカウントなど)も管理しなくてはならなくなっています。身寄りがない場合、誰かにこれらのアカウントやデジタル資産を引き継いでもらえるように、パスワード管理やアクセス方法を整理しておくことが重要です。
まとめ
身寄りがない高齢者にとって、終活は、残りの人生を安心して過ごすための大切な準備です。自分の希望や意志を明確にし、身の回りの整理をしておくことで、将来の不安を軽減し、円滑に自分の遺志を実現できます。また、家族がいない場合は、信頼できる第三者を指名することや、地域のサポートサービスを活用することも考慮に入れて、しっかりと準備を進めていきましょう。