認知症の症状「反復的な質問や忘れっぽさ」にメモを使って対処する方法
認知症の症状である「反復的な質問や忘れっぽさ」に対して、メモを活用する方法は非常に効果的です。メモを使うことで、患者さんが自分で情報を確認できるようになり、同じ質問を繰り返す回数を減らしたり、忘れっぽさを補ったりすることができます。以下は、メモを使った具体的な対処法をいくつか紹介します。
1. 「確認メモ」を作成する
患者さんがよく質問する内容(例:今の時間、家族の名前、今日の予定など)をメモとして用意しておくと便利です。これにより、患者さんは自分で簡単に情報を確認できます。
- 方法:
- 重要な質問や情報(例:「今日は何曜日ですか?」、「お昼は何時ですか?」)について、1枚の紙やホワイトボードにまとめます。
- 文字が大きく、見やすくなるように工夫しましょう。視覚的にわかりやすいことが大切です。
- メモには、時間や日付を明記することも効果的です。「今日は○月○日、○曜日です」と書いておくと、患者さんがその日の日時を把握しやすくなります。
- 例:
2. 「誰が来るか」メモ
訪問者や家族が来ることを忘れてしまうこともあります。訪問者や家族の予定をメモで管理することで、患者さんが驚いたり混乱したりするのを防ぐことができます。
- 方法:
- 「今日の訪問者」をカレンダーやホワイトボードに書いておきます。
- それぞれの訪問者の名前と、来る予定の時間を書いておくと、患者さんは確認しやすくなります。
- 例:
3. 「よく使う場所」メモ
患者さんが物をどこに置いたかを忘れやすくなる場合、物の「置き場所」をメモしておくと便利です。
- 方法:
- よく使う物の置き場所をメモして、家の見やすい場所に貼っておきます。例えば、「鍵は玄関のテーブルに置いています」「財布はリビングの棚に置いています」といった情報です。
- 繰り返し確認できるように、常に同じ場所に貼ると効果的です。
- 例:
4. 「問いかけメモ」を使う
反復的な質問に対して、答えを事前に書いたメモを用意しておきます。このメモを使うことで、同じ質問に何度も答える手間を減らせます。
- 方法:
- 事前に答えをメモしておき、そのメモを患者さんが見られる場所に置きます。例えば、「今、何時?」という質問が繰り返される場合、「今の時間は10時です」というメモを目の前に置きます。
- 答えが目の前にあると、患者さんは自分で確認でき、安心感を得られます。
- 例:
5. 「日課メモ」
患者さんの1日のスケジュールを視覚的に示すことで、次に何をするかを忘れにくくします。また、これにより患者さんは自分で次の活動を思い出しやすくなります。
- 方法:
- 1日の予定を大きな文字で書いたメモやカレンダーを作り、患者さんが目にする場所に貼っておきます。予定を目で確認できると、次に何をすればいいのかが明確になり、質問が減ることがあります。
- 例:
6. 「自分の名前」や「関係者の名前」メモ
認知症が進行するにつれて、自分や家族の名前を忘れることもあります。大切な人々の名前や関係性を書いたメモを貼っておくことで、患者さんは誰が自分の周りにいるのかを確認できるようになります。
- 方法:
- 自分や家族、友人の名前をリストにして、視覚的に見やすい場所に貼りましょう。「私は〇〇です。母は〇〇です。」など、関係性も併せて書くとより効果的です。
- 例:
7. ホワイトボードを使う
ホワイトボードを使うと、日々更新される情報を簡単に書き換えられるので、患者さんにとって非常に便利です。
- 方法:
- ホワイトボードに日々のスケジュールや質問の答えを書き、目に入りやすい場所に掲示します。日々の情報を更新することで、患者さんが今自分がいる場所や時間を確認でき、安心感を与えることができます。
- 例:
まとめ
「反復的な質問や忘れっぽさ」に対処するためには、メモを使って情報を可視化し、患者さんが自分で確認できるようにすることが有効です。メモはシンプルでわかりやすく、大きな文字で書くことが大切です。また、メモを適切な場所に置き、患者さんが頻繁に確認できるようにすることで、質問や不安を減らすことができます。
メモを使ったサポートは、患者さんの自立を支援し、安心感を与えるために非常に効果的です。