認知症の困った行動④「誰かがいる」と感じる不安の正体

「あそこに人がいる」

「誰かが私を見ている気がする」

実際には誰もいないのに、誰かの姿が見えたり、人の気配を感じたりする。認知症の方にこうした言動が見られると、ご家族は驚き、どう対応すればよいのか戸惑うことでしょう。

こうした症状の背景には、幻覚や見間違い、不安などが関係していることがあります。本人には本当に見えているように感じられるため、周囲が「そんな人はいないよ」と説明しても、簡単には納得できないことがあります。

大切なのは、見えているものを頭ごなしに否定するのではなく、本人が感じている恐怖や不安を和らげることです。

🌿 この記事でわかること

  • 「誰かがいる」と感じる原因
  • 避けたい対応と安心につながる声かけ
  • 医療機関や専門家に相談したいタイミング

なぜ「誰かがいる」と感じてしまうの?

① 実際にはないものが見える「幻視」

幻視とは、実際には存在しない人や物が見える症状です。認知症の中でも、レビー小体型認知症では、人物や動物などが具体的に見える幻視が比較的よく見られます。

本人には現実の光景と同じように感じられるため、「誰もいない」と伝えられても、すぐに理解することは難しい場合があります。

② 光や影を人と見間違えている

薄暗い部屋のカーテンや家具、壁に映った影が、人の姿に見えることがあります。暗い場所や夕方以降に訴えが増える場合は、照明や部屋の環境を見直してみましょう。

③ 不安や体調の変化が影響している

孤独感や緊張が強いときに、人の気配を怖く感じることもあります。また、急に幻覚や混乱が現れた場合は、感染症、脱水、薬の影響などによるせん妄が関係している可能性もあります。

注意したいのは、症状をすべて認知症のせいにしないこと。急に症状が出た、普段と様子が違うといった場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

避けたいNG対応

  • 「そんな人はいない!」と強く否定する
  • 「気のせいだから」と片付ける
  • 怖がっている本人を放置する
  • 無理に見えているものを説明させようとする

ご家族にとっては、実際には誰もいないのに話が続くと、つい否定したくなることもあるでしょう。しかし、本人は本当に見えたり感じたりしているため、強く否定されると不安や恐怖が増してしまうことがあります。

安心につながる4つの対応

① まずは怖い気持ちに寄り添う

「怖かったね」「びっくりしたね」と、本人の気持ちを受け止めましょう。見えているものが本当かどうかを議論するより、まず安心してもらうことが大切です。

② 本人が望むなら一緒に確認する

「一緒に見てみようか」と声をかけ、本人が安心できるように周囲を確認します。無理に近づかせたり、確認を強要したりする必要はありません。

③ 部屋を明るくして影を減らす

照明をつける、カーテンを整える、家具の配置を見直すなど、見間違いが起きにくい環境をつくります。夜間は足元も明るくし、安全に移動できるようにしましょう。

④ 安心できる人や活動につなげる

そばで穏やかに話す、お茶を飲む、好きな音楽を聴くなど、気持ちが落ち着く時間をつくります。いつ、どのような状況で症状が出るのか記録しておくと、対応を考える手がかりになります。

症状が続くときは、家族だけで抱え込まない

「誰かがいる」という訴えが続くと、本人は恐怖で眠れなくなったり、誰かから逃れようとして外に出ようとしたりすることがあります。ご家族も夜間の見守りなどで疲れがたまり、精神的な負担が大きくなりがちです。

症状が繰り返される場合は、かかりつけ医や認知症の専門医に相談しましょう。急な変化や強い混乱がある場合は、早急な医療相談が必要です。

また、在宅での見守りが難しいと感じたら、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、介護サービスや老人ホームへの入居を検討する方法もあります。施設を探す際は、認知症の症状への対応経験や、夜間の見守り体制などを具体的に確認しましょう。

よくある質問

Q. 「誰かがいる」と言われたら、否定しないほうがよいですか?

A. 強く否定するよりも、「怖かったね」と気持ちを受け止めることを優先しましょう。本人の安全を確かめながら、安心できる環境に整えることが大切です。

Q. 幻覚が急に始まった場合はどうすればよいですか?

A. 認知症の症状と決めつけず、早めに医療機関へ相談してください。急な混乱や意識の変化、発熱などを伴う場合は、速やかな医療評価が必要です。

まとめ|本人の不安を和らげることが第一歩

認知症の方が「誰かがいる」と感じる背景には、幻視や見間違い、不安、体調の変化など、さまざまな要因が考えられます。

大切なのは、本人の感じている世界を頭ごなしに否定せず、恐怖や不安を和らげること。そして、症状が続くときや急に変化したときは、医療機関や専門家に相談することです。

ご家族だけで対応するのが難しいときは、周囲の支援を頼りながら、ご本人とご家族の双方が安心できる環境を考えていきましょう。

関連記事

無料相談のご案内

「夜になると不安が強くなる」「幻覚への対応に戸惑っている」「自宅での見守りが難しくなってきた」など、介護のお悩みはありませんか?

ご本人の状態やご家族の状況を伺いながら、安心して過ごせる環境や老人ホーム探しについてご案内いたします。一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

相談員と直接電話・メールで相談する