認知症の人が窃盗と疑われた時…家族が守るべきポイント
認知症の方が「物を盗んだ」と疑われたり、逆に「誰かに盗られた」と訴えることは、介護の現場で珍しいことではありません。
しかし、家族としてはとても心が痛み、どう支えればよいのか迷ってしまいますよね。
この記事では、認知症で“窃盗に見える行動”が起きる理由、家族が取るべき対応、周囲とのトラブルを防ぐポイントを、やさしく分かりやすくお伝えします。
1)認知症で「窃盗と疑われる行動」がなぜ起きるのか
まず理解したいのは、認知症による“窃盗のように見える行動”は、本人の意思や性格の問題ではないということです。
主な理由には次のものがあります。
- 記憶障害:自分の物をどこに置いたか忘れ、別の場所にしまい直してしまう。
- 見当識障害:時間や場所の感覚が乱れ、「自分の物」と「他人の物」の区別が曖昧になる。
- 不安や焦り:大切な物を離したくない気持ちから、財布や薬を隠してしまう。
- 物盗られ妄想:自分の記憶が抜け落ちた結果、「誰かに盗られた」と思い込んでしまう。
このように、脳の変化によって起きる“症状”であり、故意ではないことをまず理解することが大切です。
2)窃盗を疑われた時、家族がまずやるべきこと
① 本人を責めず、落ち着かせる
本人が混乱しているときは、叱ったり否定するほど不安が強まります。
やさしく、ゆっくりした声で声かけをしましょう。
「大丈夫だよ。いっしょに確認しよう」
この一言が安心につながります。
② 状況を一緒に確認する
「盗った」「盗られた」が起きた場合は、落ち着いた状態で一緒に探すのが効果的です。
財布や鍵などは本人が“よくしまう場所”を把握しておくとスムーズです。
③ 第三者(スタッフ・家族)と事実関係を整理する
もし周囲から疑いの声が上がった場合は、
本人の症状・状態を丁寧に説明し、誤解を減らすことが大切です。
④ 施設やデイサービスと情報を共有する
窃盗に見える行動が続く場合は、職員と「いつ、どんな場面で起きやすいか」を共有すると、予防策が立てやすくなります。
3)トラブルを防ぐための環境づくり
① 大切な物は管理する(家族がサポート)
現金・通帳・貴重品は本人が不安にならない範囲で管理しましょう。
「預かる」ではなく「安全な場所に一緒に置いておこうね」と声かけするのがポイントです。
② 共有スペースに私物を置かない
誤って他人の物を持ってしまうのを防ぐため、共有スペースには最小限の物だけを置きましょう。
③ 名前シールをつける
衣類・タオル・小物に名前をつけておくと、誤解やトラブルがぐっと減ります。
④ “物を隠す行動”が強い場合は医師へ相談
不安が強い・物盗られ妄想が続く場合は、医師に相談することで症状を和らげる手立てが見つかることがあります。
4)「盗った」「盗られた」と言われた時の声かけ例
正面から否定するより、気持ちを受け止めることが大切です。
◎ 良い声かけ
- 「それは心配だったね。一緒に探そうね。」
- 「大事な物だから気になるよね。」
- 「たぶん近くにあると思うよ。ゆっくり探してみよう。」
◎ 避けたい声かけ
- 「盗ってないでしょ!」と強く否定する
- 「何回言ったらわかるの?」と責める
- 「また始まった」などの否定的な態度
大切なのは、“気持ちを落ち着かせる声”を意識することです。
5)家族自身が疲れすぎないために
認知症による“窃盗に見える行動”は、家族に強いストレスを与えます。
「どうして私ばかり」と感じてしまうのも自然なことです。
- 一人で抱え込まない
- 専門職(ケアマネ、医師、相談員)に相談する
- 介護サービスを活用して休む
あなたが疲れ切ってしまうと、本人も安心できません。
「少し休むことが、最善の介護」という視点も大切にしてください。
施設選びや見直しを考えている方へ
もし「今の環境ではトラブルが多い」「もっと落ち着ける施設はないか」と感じたら、専門の紹介サービスを頼るのも一つの方法です。

