認知症でも楽しめる“音楽の魔法”

「昔の歌を聴くと、母が笑顔になるんです」――そんな声をよく耳にします。
実は、音楽には認知症の方の心を動かす不思議な力があります。今回は、音楽がもたらす“癒しの効果”について、わかりやすくご紹介します。


● なぜ音楽が認知症の方に効果的なの?

音楽を聴くと、脳のさまざまな部分が活性化します。
特に「感情」や「記憶」をつかさどる海馬が刺激され、昔の思い出や懐かしい気持ちがよみがえることがあります。

例えば、若いころに流行っていた歌を聴くと、「あの時こんなことがあったね」と会話が広がることも。
言葉がうまく出なくても、リズムに合わせて体を動かしたり口ずさんだりすることで、自然な笑顔やコミュニケーションが生まれます。

ポイント:音楽は「記憶」よりも深い「感情」を呼び覚ます力があります。

● 簡単にできる“音楽ケア”の始め方

専門的な知識がなくても、家庭でできる音楽ケアはたくさんあります。以下のような方法がおすすめです。

  • 懐かしい歌を一緒に聴く:昭和歌謡や童謡など、本人が若いころに親しんだ曲を中心に。
  • 一緒に歌う:無理に歌わせようとせず、自然に口ずさめる雰囲気づくりを。
  • 手拍子や軽いリズム運動:手をたたいたり体を揺らすだけでも、心身の刺激になります。
  • 朝・昼・夜で曲を変える:朝は元気な曲、夜は落ち着く曲など、時間帯に合わせて選ぶと◎。

特に「夕方になると不安が強くなる(夕暮れ症候群)」という方には、穏やかなクラシックやヒーリング音楽が効果的です。

● 音楽がもたらす“心のつながり”

音楽の力は、本人だけでなく家族にも大きな影響を与えます。
一緒に歌いながら笑い合ったり、昔話をしたりすることで、「今この瞬間を共有する」喜びを感じられます。

また、言葉が減ってしまった方でも、音楽を通じて「心で会話」できることがあります。
介護の中でつい「できないこと」に目が向きがちですが、音楽は「できること」に気づかせてくれる素敵なツールです。

家族の声:
「歌を聴かせると、表情が明るくなりました」
「手拍子をするようになって、会話も増えました」
――そんな小さな変化が、毎日の介護を少しやさしくしてくれます。

● まとめ:音楽の力を暮らしの中に

認知症の方にとって、音楽は“薬のいらないセラピー”です。
気分が沈みがちなときも、音楽が笑顔や安心をもたらしてくれることがあります。
ぜひ日常の中に、少しずつ音楽を取り入れてみてください。


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