認知症の困った行動⑫外に出てしまう(徘徊)の本当の理由
「気づいたら家からいなくなっていた…」
「何度も外に出ようとしてしまう…」
認知症の方の“徘徊”は、ご家族にとって大きな不安のひとつです。
しかし、この行動は決して意味のないものではありません。
本人なりの理由や目的がある行動なのです。
今回は、外に出てしまう本当の理由と、安心につなげる関わり方について解説します。
■ 「徘徊」は目的のある行動
一般的に“徘徊”と呼ばれますが、本人にとっては「意味のある外出」です。
ただ歩き回っているように見えても、心の中には明確な動機が存在しています。
- 家に帰ろうとしている(ここが自宅だと認識できない)
- 仕事や役割を果たそうとしている
- 誰かを探している
- 不安や落ち着かなさを解消しようとしている
- 運動不足による自然な行動
つまり、「外に出たい」のではなく、
“何かをしようとしている結果”として外に出ているのです。
■ よくある具体的なケース
① 「家に帰る」と言って出ていく
今いる場所が自宅だと分からなくなり、「本当の家に帰らなければ」と感じています。
② 「仕事に行く」と外に出る
現役時代の記憶が強く残り、「行かなければならない」という責任感から行動しています。
③ 落ち着かず歩き続ける
不安や違和感を解消するために、体を動かしている状態です。
■ 止めるのではなく“理解する”ことが第一歩
外に出ようとする行動を無理に止めると、
- 強い抵抗や怒りにつながる
- 不信感が生まれる
といった悪循環になりやすくなります。
大切なのは、
「なぜ外に出ようとしているのか?」を考えることです。
理由が見えてくると、対応の仕方も変わってきます。
■ 安心につなげる対応のポイント
① 否定せず受け止める
「帰る場所はここだよ」と否定するのではなく、
「帰りたいんですね」と気持ちを受け止めることが大切です。
② 一度一緒に外に出る
無理に止めるのではなく、短時間でも付き添って歩くことで安心感につながります。
③ 役割を作る
「これをお願いしてもいいですか?」と役割を持ってもらうことで、外出への意識が変わることがあります。
④ 環境を整える
- 玄関に鍵やセンサーを設置
- 目立たない位置に靴を置く
安全を守る工夫も重要です。
⑤ 日中の活動量を増やす
体を動かす機会を増やすことで、外に出たい欲求が落ち着くことがあります。
■ 事故を防ぐための備えも重要
どれだけ注意していても、目を離した隙に外に出てしまうことはあります。
- 名前や連絡先を書いたものを身につける
- GPS機器の活用
- 地域の見守りサービスの登録
「万が一」を前提にした備えが安心につながります。
■ 施設という選択肢
徘徊が頻繁になると、ご家族の見守り負担は非常に大きくなります。
老人ホームでは、
- 安全に配慮された環境設計
- 24時間の見守り体制
- 認知症に合わせた行動理解と対応
により、安心して過ごせる環境が整っています。
また、認知症の方の行動特性を理解したケアにより、外に出ようとする不安自体が落ち着くケースもあります。
■ まとめ
認知症の方が外に出てしまうのは、「意味のない行動」ではなく、心の中の目的や不安が表れたものです。
止めることだけに目を向けるのではなく、理由を理解し、安心できる関わりを増やしていくことが大切です。
そして、ご家族だけで抱え込まず、安全を守るための環境づくりや支援も積極的に取り入れていきましょう。
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