認知症の困った行動③「家に帰る」と言い出す本当の理由
「家に帰りたい」
今、自宅にいるはずなのに、認知症の方が突然そう言い出すことがあります。
「ここが家だよ」と説明しても納得してもらえず、何度も繰り返されると、ご家族もどう対応すればよいのか分からなくなってしまいますよね。
けれど、「家に帰りたい」という言葉は、単なるわがままではありません。そこには、不安や寂しさ、安心できる場所を求める気持ちが隠れていることがあります。
🌿 この記事でわかること
- 認知症の方が「家に帰る」と言い出す理由
- 避けたい対応と安心につながる声かけ
- 外出や徘徊が心配なときの対策
なぜ「家に帰る」と言い出すの?
① 今いる場所が分からず、不安になる
認知症によって、場所や状況を正しく把握することが難しくなる場合があります。自宅にいても、見慣れた場所だと認識できず、「知らないところにいる」と感じてしまうことがあるのです。
その不安から、安心できる場所に帰ろうとすることがあります。
② 昔の家や家族を思い出している
「家」と聞いて思い浮かべているのは、今住んでいる家とは限りません。子どもの頃に暮らした実家や、若い頃に家族と過ごした場所など、過去の記憶にある家を求めている可能性もあります。
本人にとっては、そこが懐かしく、安心できる場所なのかもしれません。
③ 寂しさや不安を感じている
誰かと話したい、家族に会いたい、落ち着かない。そんな気持ちをうまく言葉にできず、「家に帰りたい」という表現になっていることもあります。
大切なのは、「どこに帰りたいのか」だけでなく、「今、何が不安なのか」を考えること。言葉の奥にある気持ちに目を向けてみましょう。
逆効果になりやすいNG対応
- 「ここが家でしょ!」と強く否定する
- 「さっきも説明したでしょう」と責める
- 無理に説得して、納得させようとする
ご家族としては、何度も説明したくなるのも当然です。しかし、本人が状況を理解しにくいとき、正しいことを伝えても不安が解消されるとは限りません。強く否定されることで、かえって混乱したり、気持ちが高ぶったりすることもあります。
安心につながる4つの対応
① まずは気持ちを受け止める
「帰りたいんだね」「何か心配なことがある?」と、本人の気持ちに寄り添います。すぐに理由を聞き出そうとせず、穏やかな表情と声で話しかけることも大切です。
② 安心できる声かけをする
「少しお茶を飲んでから考えようか」「ここで一緒に休もうね」など、落ち着ける言葉をかけてみましょう。本人の気持ちを否定せず、自然に次の行動へつなげることがポイントです。
③ 好きなことや日課を取り入れる
好きなお茶や音楽、昔の写真、なじみのある家事など、本人が落ち着けることに誘ってみましょう。空腹や疲れ、トイレに行きたい気持ちなどが影響している場合もあるため、体調や生活環境も確認します。
④ 安心できる環境を整える
見慣れた家具や写真を置く、生活リズムを整えるなど、安心感につながる工夫をします。いつ、どのような場面で「帰りたい」と言うのかを記録すると、きっかけを見つける手がかりになります。
外に出てしまうときは、見守り体制の見直しを
「家に帰る」という気持ちが強くなると、家族が気づかないうちに外へ出てしまうことがあります。道に迷ったり、転倒や交通事故に遭ったりする危険もあるため、繰り返す場合は安全対策が必要です。
玄関の見守りや連絡先を記した持ち物の準備に加え、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談する方法もあります。急に症状が強まった場合は、体調不良などが隠れていないか医療機関に相談しましょう。
在宅での見守りが難しくなったときは、介護サービスの利用や老人ホームへの入居を検討することも選択肢です。施設によって見守り体制や外出時の対応は異なるため、本人の状態に合う環境かどうかを確認しましょう。
よくある質問
Q. 「家に帰りたい」と何度も言うときは、毎回説明すべきですか?
A. 毎回、場所を説明して納得してもらおうとする必要はありません。まず気持ちを受け止め、安心できる声かけや環境づくりを試してみましょう。
Q. 家族だけで対応するのがつらくなったら?
A. 家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談してください。介護サービスや施設入居も含め、本人と家族の双方が安心できる方法を考えることが大切です。
まとめ|「帰りたい」の奥にある気持ちを考える
認知症の方が「家に帰りたい」と言う背景には、場所が分からない不安や、懐かしい記憶、寂しさなどが隠れていることがあります。
正しいことを説明するだけでなく、まずは気持ちを受け止め、安心できる環境を整えることが大切です。
そして、外出の危険やご家族の介護負担が大きくなっている場合は、周囲の支援を頼ることも考えてみてください。
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