認知症の介護者の体験談「忘れられた過去、でも新しい思い出」
認知症を抱える家族との関わりの中で、介護者として感じた愛情や成長、そして時に癒しをテーマにしています。
状況: 認知症の進行が進んだ父は、もう私の名前さえ覚えていませんでした。ある日、私は父が好きだった趣味、絵画を一緒にやろうと提案しました。しかし、父はそれについて全く覚えていなかったのです。
体験談: それでも、私は父に絵の具と筆を手渡し、「久しぶりに絵を描こう」と言いました。驚いたことに、父は筆を手に取ると、自然に絵を描き始めました。それはただの線や色だったかもしれませんが、彼の目には集中した光が宿り、何かを創り出すことに喜びを感じているようでした。
教訓: 認知症で過去のことを忘れてしまっても、何か新しいことを共有することで、心に残る瞬間を作り出すことができるのだと学びました。過去を完全に失っても、今この瞬間を一緒に生きることができる。それが私にとっての癒しの時間になりました。